あちあち読書

ジュリスト増刊全国まちづくり集覧(←こちらに津端先生の一部が)
1977年刊。基礎的文献とのことで、M氏からお借りしました。
現代でまちづくり課題とされてる、産業を興して自主財源とか、幼保一体化とか、公立施設の民間管理とかがもうこの時代から出てきてるんやねえ。そしてそれを解決しようと各地で取り組む事例が幾多も。素晴らしい編集です。
内容の充実度もともかく、これ、まだ活版印刷だ。活字が横を向いてたりする。原稿の多寡によって、行間調整したりもしてます。限られた時間でかけられた手間の膨大さ。ただただ頭を垂れる。


日本辺境論(←評もさまざま)
在外研究について考える機会があったもんで、そいえば最近の日本論って……ってことで読んでみた。
日本は辺境にあったから、外から来るものがいつも進んでいて、自らの立ち位置を最初に示すことはせずに外部との関係からそれを導き出す国民性なんだ、ってことでしょうか。普段ブログも拝見してるのにも関わらずおもしろく読みました。
漢字と平仮名を理解しながら読む言語の特異性、という話も、そーいえば昔から御説はありましたがなるほどそういうことか。これこそ辺境人の特異性なんで、誇ってええことなのね。


大阪人8月号「体感昭和町」(←町をよくご存知の方による紹介)
町の歴史を掘り起こしながら新旧名店を取り上げる記事が素晴らしい。そして、本号ではそれを仲介しはった三代続く不動産屋さんにもスポットが。年表も充実してます。
しかし一番なるほど!だったのは、この町がきちんと区画整理を経て作られた長屋街で、その立地のさせ方から建物の改修が容易で、だからこそ今も多くの長屋が残っているという大阪市大の調査でありました。


編集者の仕事(←あえて版元さんのぺえじを)
現役を退いた新潮の書籍編集者による新書。編集者の回顧本って、著者との個人的な交友だとか裏話的なものが多いけれど、本書は技術についての本で、とてもおもしろく読んだ。本って完成したら内容と装丁くらいしか触れられないことが多いけど、たとえば版面の作り方や注の方針なんてことも大切な要素。単一商品だから比べられるということはないものの、頭の悩ませどころはそこですよね〜と大きくうなずく。
あと、校正部というのがすごい。「その時期にその場所で北斗七星は見えない」とかギモンを書き入れるそうだ。ひ〜。