ひさびさ読書

「民主主義ってなんだ?」
立ち上がり、デモを行い、国会前で連日活動していた彼ら。
まずは、顔と名前を出して意見を述べるその決意と覚悟に惜しみない賞賛を。大学生だった私は絶対そんなことようせんかった。
そして、とてもよく勉強している。哲学の本、政治の本、たくさん読んでいて、しかも自分と異なる意見に耳を傾け、語りあおうとする姿に打たれる。
それこそが民主主義なのかもしれない。そして、高橋せんせの導きによりだんだんと見えてくる、「民主主義とは決して完成しない状態」ということにもハッとする。
以前、編集した「ユニバーサル・デザイン」という本の「改善への努力を継続する姿勢そのものがユニバーサル・デザイン」という一節にも合致すると思った。強度ある思想はこうやって続いていくんや。
次は大月書店からも本が出るらしいのでこれまた楽しみ。
で、SEALDsといえばかっこいいコールなのですが、ライムスター宇多丸さんラジオのtoggeterがおもしろかった。


「アウシュヴィッツを志願した男ーポーランド軍大尉、ヴィトルト・ピレツキは三度死ぬ」
ポーランドに深く分け入った著者による、葬り去られていた英雄遺族へのヒアリングから成った一冊。
ホロコースト関連書籍を読んでいくと、必ずやポーランドという国のことが見えてくる。強制収容所は元々ポーランドを占領したドイツが、ポ人政治犯を送った場所でもあるから。第二次大戦が終わり、国家よ再びという悲願もむなしくソ連傀儡政権に支配され、囚われて命を落とした男の記録。
国を愛するとはどういうことか、民衆はどう生きるか、政治を動かす勢力と自らの意志が相反したときに、ここまで潔く戦うことができるのか、いや戦う準備をしなくてはならないのか、と今の日本に落として読まざるを得ない。
なお、この本が世にでたのは、去年読んだ「私はホロコーストを見た」ランズマン映画「ショア」によるところが大きいと思われ、表現を世に出すことの力を感じた。


「北沢恒彦とは何者だったか?」
先日の鶴見俊輔勝手に読書会時に、N先輩にお借りした一冊。
表紙の素敵写真の後ろ姿は、愛息にて著者の黒川創さん。
1934年生まれ、高校時代に学生運動で逮捕され、その後京都市職員になり、鶴見さんらと語らい、たくさんの文章を書いて、99年に自死した方。北沢さんのことなんてぜーーーんぜん知りませんでした。京都ならでは地名・人名にいちいち付箋つけたくなる。京都に住んでるのに恥ずかしい限り。
こんなに、勉強好きな人がいたんやーと感嘆しきり。歴史から、生活から、古典から、世界をもっと知ろうとする衝動の強さに憧れる。これほどの方が、自死を選ぶというのがつらくて悲しい。次は、この方の書いたものを読んでみようと思います。