若者は燃えていたのか

日本の夜と霧(←当事者世代じゃないからこゆ感想になりますよねえ)
連合赤軍の本やらを読んでるというたら、M氏が貸してくださった大島渚監督作品。
「暗いで、長いで」と言われておりましたが、いや〜、おもろかった!っていうか、こう書いたら本当に怒られそうなのですが、シニカルなコメディ。


披露宴。新聞記者の新郎(渡辺文雄)、年下の花嫁、仲人で大学時代の教授の口上から映画は始まる。二人は安保闘争の中で結ばれたのであります。
闖入者は、警察に追われている花嫁の同志(津川雅彦)。花嫁に、同時に病院に担ぎ込まれたもののデモへ出向いて行方不明になった♂のことはいいのか!&上の世代の新郎に、あなた達の運動とは!と熱くつっかかる。ここから、場面は過去のあちこちに飛ぶ。新郎の学生時代の熱い戦い、真っ当とは言えない査問から生じた友人の自死、弁舌巧みで金持ちな先輩に恋人は走り、哲学をとことん突き詰めてたはずの仲間は変わり身早くフォークダンスにいそしむ。青春の蹉跌と切り捨てても人生は続く、権力に擦り寄った者の空疎な演説が続く……。


当時、志のあるものは、すべからく挫折を味わったんだと思う。じゃあどうすればよかったんだろうか。意志を言葉にすばやく直結できる者ばかりではない、誰もが批判されず自由に意見を述べられる場を作りだせればよかったんだろうか。でもそれは、自らをエリート集団と任じる当時の学生達には難しかったのかもしれないな、とゆるい頭で考えました。


物語はともかく、この映画は演出もすごい。数名にスポットライトが当たっている間に場面転換とか、かなり演劇的で長回しです。カミカミな台詞は青年達の青臭さと臨場感を伝えてあまりある。登場人物は多いのに名前もきちんと理解させるエピソードの積み重ねは脚本の秀逸さ。そして、過去から現在へ、役者の服装がだんだんと洗練されていくところも構造を補強してる。
というわけで、わざわざ見なくても人生は変わらないかもしれないけど、見て損は絶対にない作品だと思いました。


他にも紹介したい映像あったのに、長くなったのでまた改めて。