イン・セクツ/東野圭吾/永江朗/大橋鎮子

IN/SECTS vol.000
相方の茶屋町丸善ジュンク土産。2009年刊、知りませんでした。ローカルカルチャーマガジンなんだ。生駒にぽつぽつ出来ているという楽しげな場所・お店などを紹介。とはいえ決してお洒落な感じじゃなく。地元感を大事にしてるのかなあ。なんか「知り合いの知り合い」とかじゃないと行けない雰囲気……。ちなみに地元といえばHUGE2月号(←店名が×ならせめて町の名くらいのせても)が全国の地元っぽい店を特集していた。そっちはもすこし敷居が低かった。
ローカルな情報を誰に向かって出すかってむずかしい。3号雑誌になってほしくない。がんばってほし。


『雪に閉ざされた山荘で』(←そか、こゆ素直な気持ちで)
叔母に借りた。
表題通り、密室劇。動機はわからんながらも意外に犯人はかなり早くからわかってしまった。が、なんというか、「(複数の)本歌を知ってる人による知ってる人のためのお戯れ」という感じが付きまとい、あまり楽しく読めず。いまやベストセラー作家の東野さんが、こんなにたくさん作品を発表してはったんを知らなんだ。努力が今を築いたんや、ということがよくわかったのは収穫でした。


『セゾン文化は何を夢みた』(←がっつりな書評はたくさんあるので、さらっとこちらを)
セゾン文化についてリアル体験のないN吉がいうのもなんだが、まとめはるなら彼だろう、と思っていた。あとがきによると1998年からの構想らしい。
重要人物が鬼籍に入り、当初の組立ては変更せざるを得なくなったということですが、充分、勉強になりました。各章の見出しが、作者の心情に寄り添っているよで、ぐっとくる。
作者が青春のすべてを捧げた(大げさかな、すんません)この企業活動が、後世に残るほど錚々たる人材を生み出した。それは社長の計算ずくではなく、時代と場所と機会が幸福なことに一点に集まったということに尽きる、と読めました。いつもインキュベートな場所・もの・ことは、あとで振り返ってその存在の大きさに気づかされるんや。
企業的に唯一成功したのは無印良品、とありましたが、あれだけの規模で成功したなら充分なんじゃないだろうか。
社長さんのことはよく知らないので、また折に触れ本を読んでみたいです。


『暮しの手帖と私』(←サンケイ新聞記事)
編集長の花森安治さんが有名ですが、この出版社の社長は女性だった!と、熱心な読者ではないN吉は10年くらい前にようやく知った。
90歳にして初めての自伝ということで、生い立ちから花森氏までの死が、わかりやすく若々しい文体で描かれる。挿入される当該記事や写真もタイミングよくて編集にうなる。
父の死を背負い、母と二人の妹を抱えた、でも決して後ろは向かない鎮子さんの生きる覚悟と仕事と幸福が、どの稿からも溢れていて胸がいっぱいになる。
読者に1対1で向き合うその姿勢は、本作りの現場にいる私達が今、忘れてしまっていること。襟を正したい。先人の知恵をもっと学びたい。
←関係ない写真。美妹の腕ですっかりくつろぐ