谷崎潤一郎/山地としてる/西岡常一/P・コーンウェル

『細雪』(←こちらが詳しくておもしろかった)
谷崎作品って何本か読んでるけど、イマイチ、その美意識押し付け具合&♀評価目線が気に入らず、代表作を読んでおりませなんだ。先日の町歩きの参考文献に出たので、この機会に!と思い立って読んでみた。
よく知る京阪神の土地が出てくることや、細やかな心遣いや美意識の表現が興味深く、中ほどまではおもろく読んでましたが、だんだんと姉妹のトロさや、常識知らずなところにイライラしてきて、やっぱりいつもの谷崎作品の読後感じゃった。とはいえ、文体は素晴らしい。これだけ登場人物がいるのに、それぞれの行動などがだらだらしない文章でまるでそこに展開してるように読めるのは、身近にモデルがいたからというだけではないよなあ、きっと。というわけで、代表作というのにはなるほどと大いにうなづくのでありました。


『ブタとおっちゃん』(←写真も何枚か見られます)
恵文社一乗寺店で手にとってすぐ、購入決定。これ、すんばらしい写真集ですよ!おすすめ!!1200頭のブタを育てるおっちゃんとブタの日常に、10年にわたり追った写真。おっちゃんとブタの間に流れる空気まで写されている。でもただのペット写真じゃなくて、おっちゃんはブタを出荷してまうねん。その気持ちってどんなものなんやろう。


『木のいのち木のこころ』天
名作をようやく読みました(←あ、合本&文庫になってる)。法隆寺金堂などの修理、薬師寺西塔などの再建を手がけられ、1995年に亡くなられた宮大工棟梁の語り下ろし。塩野さんの話の聞きだし方がお上手なんだと思う。少ない語数で、もはや仕事を超える、哲学といってよい言葉の数々が紡がれる。どこを切り取っても名言の宝庫。こういう本って見出しつけるのとか構成とかむずかしそうだけど、本当に素直にさらっと読めるように作られている。私達には「古建築」という名でしか呼べない建物を、たくさん見てきた目から厳しく時代判定していて、そこが個人的にはおもしろかった。学者をよせつけない経験の世界。そういう見方をできるようになりたい。


『核心』(←まさにそうです!なご感想)
もう偉大なるマンネリなんだけれど、母が買ってると読んでしまう米産ミステリー。
物語はともかくとして、今回、おお!と思ったのはカジノの心理的研究ネタ。静かで瞑想的環境にあると人は創造性を発揮するけど、うるさくて明かりもチラチラしているようなところでは考える力が奪われて、賭け事にのめりこんでしまうんだそうだ(←N吉まとめ)。なるほど!パチンコ屋とかがどうしてあんなにうるさくてたまらんのかと思っていたけれど、それにはちゃんと理由があったんやねーと、めちゃくちゃ納得してしまいました。