いざ、初伊丹

世田谷文学館の堀内誠一展が気になっていたら、関西にも巡回してた!しかもK様からチケいただけるとはなんという幸運。ってことで、初めて降り立つ伊丹へ。
再開発っぽい駅前を抜けて、伊丹市立美術館へ。重文民家の保存と一体化させた美術館なんですね。入り方を間違ってぐるぐるしてしまいました……。

堀内氏は1932年生まれ。父親が図案家で、戦後すぐ14歳にして伊勢丹広告部へ入りたちまち頭角を現す。なかでも雑誌のレイアウトに優れ、やがてアンアン、ポパイといった雑誌のロゴ・ビジュアルデザインを担いマガジンハウスの黄金期を牽引。一方で絵本の挿絵も多く手がけ、現在もロングセラーになっているもの多数。1974年からは家族と共にフランス郊外へ移住し、旅をし、やがて日本に戻り新たな雑誌を旗揚げ!と奮起した時には癌が進行していて早すぎる死を迎えた、という人物です。
マガジンハウス時代のことはN吉も学生時代から知っていましたが、読んでた絵本をいくつも描いてはったのがこの人だったことを近年知ったので、これは見にいかんと!と出かけたわけなのです。
ちびっ子時代のスクラップブックからしてもう非凡だよ……orz。ちょいと洒落たキャラを作ったり、お話を作ったり。雑誌編集時代の実作や、レイアウト指定紙も見飽きません。色校への指示は簡潔にして的確。例えばOliveの表紙色校と完成品を見比べると、軽やかで明るいものをという指示の意図がすごくよくわかる。目と手と脳が一直線につながっていた人なんだなあ。
中期の絵本作家としてのブロックでは、作風は一環していないのにどれもこんなにうまくていいの?という仕上がり。しかもどこか可愛らしくて親しみやすい。その絵をどういう意図で描いたかという編集部宛の手紙と、絵を見比べられるのもうれしい。説明も上手な人だったんですね。
後期の旅の展示では、これでもかというほど細かい字で見所の綴られたパリの地図が圧巻。地図一枚が単なる案内にとどまらず、紀行の表現として完成されてるねん。パリの地図といえば、愛読してるこぐれひでこさんによるものが楽しくてかわいいと思っていたら、本歌は堀内さんだったことを初めて知った。ちなみにこぐれさんも図録本に寄稿してはるが、挙げてはるリスの絵本、書名はまちがってるのか別の本なのか……?
大規模な展覧会じゃないだろうから1時間半くらいか、と余裕を見て出かけたのに2時間でも最後は小走りでなんともくやしい。本当にすばらしい展示でした。Kさま、ありがとございました!


お昼はどーしよーとウロウロして、奄美料理っぽい奄んちゅ(←たくさん!なメニューを紹介してはるぺえじ)ってとこへ入ってみました。定食色々あって、迷って角煮定食700円。煮込んだ角煮がふた切れゴロリンってだけでもおお!って感じなのに、そこにキャベツやもやしを加えて生姜醤油出汁でもう一手間かけてあり、豆腐と揚げの味噌汁、ポテトサラダもほっこり味で、こりゃ人気店だろうと。常連さんの長話を聞いてはるお母さんの人柄もおおらかで、焼酎のボトルが並んでるのもよくわかるわー。おいしかったです。


あわわ、余裕あるはずなのに〜とばたばた清荒神へ。ぴり様、空蝉さま、ハラハラさせてずびばぜん。