灼熱の奈良

お庭会は、毎月第一日曜が例会日で、各所の庭園を巡ります。
8月は暑いので、午前中は講義・午後のみ見学というのが例年のプログラム。今年は奈良にて、浄土庭園についての講義を奈文研の小野先生から受けました。


寝殿造の庭園と浄土庭園ってどう違うのか、いま一つよくわかっていなかった。
浄土教自体は中国からのもので、経典に描かれた風景もあるけれど、中国ではどうやら浄土庭園らしきものはないらしい。じゃあ、その風景はどうやって日本で一つの様式となるまでの庭園になったのかというと、平安京内で寺院の建設を禁止された貴族たちが、自邸内の寝殿造+庭園のなかに仏堂を作ったことから始まり、やがて、池の他三方を建物が取り囲む形式になっていったのでは、という論が紹介されました。
池の四周を建物が取り囲む形式もあったようですが、一方だけが開ける形式がスタンダードになったのは、平安京造営思想の元ともなったと言われる風水という下地もあったのかなあ、なんてちらりと思ったりもしました。あ、思い付きです。


午後からは、円成寺(←歩いていくと大変そう)へ。
中島をもつ池の向こうに、階段と楼門。その後ろに本堂が鎮座します。
本堂の中には、まだ極彩色の残る柱などがあり、贅を尽くした寺院だったことが偲ばれます。国宝の春日造の小社もあり。
しかし対岸からの景色は、木々が鬱蒼としていてみはらかすまでにはいかず。残念。


前回衝撃を受けた浄瑠璃寺(←お散歩ぺえじ。楽しそう)へ。
こちらも残念ながら草木は鬱蒼として、池を挟んで対岸に建つ三重塔が工事中だったため、池越しに極楽浄土のように浮かぶ本堂を満喫することはできませんでした。
それでも九体の仏(九品仏)を横一列に並ばせる形に作られた本堂と池に、経典を現出させようとする強い意思を感じて身震いした。ここは本当に素晴らしいお寺なので、お勧めいたします。