ふしふし読書

はじめてのDiY(←内容よくわかります)
2008年発行だけど、ちょうど読了日にChim↑pom(←悪趣味という声もわかる。でもとても現代的な試みだとも思う)作品集について著者が朝日新聞でコメントしてはって、おお!と。
「お金で買えないものもあるぜ!」って思想は1960年代のパンクからって導入部から、音楽に暗いN吉にもぐいぐい読ませます。アングラ嗜好でも上昇志向な世代とは決別し、嗜好と志向を重ね合わせる時代に入ったということなのかな。いや、嗜好の筋を通すと上昇志向からは外れていく時代なんだってことなのかもしれない。負け組と言うならば言え!負けてるのはおまえらじゃ!な果たし状具合が気持ちいい。


トランヴェール(←秋田旅行記、素敵です)
ぷりままさんからのお土産第三弾!ありがとうございます〜。以前担当した『社宅街 企業が育んだ住宅地』にも掲載し、その町の広がりや、現在でも通用する技術を生かしている企業城下町の小坂の特集でした。芝居小屋康楽館はほんとに贅を尽くした建築なのですね。これはぜひに行ってみたい。


昭和金物屋物語(←たしかにそうかも、なするどい書評)
団長が、なぜかそっと本棚に入れてくださった一冊。作者の御茶漬海苔さんって、ホラー漫画家ですよね?その方が、こんな自伝的レトロ漫画を書いてたんだーと、いつもながら、そのアンテナの高さには敬服しまくり。
金物屋とか荒物屋って、今の子供に言っても知らないんじゃないかな。N吉もよくは知らないけれど、お金持ちな商売だったと聞いたことがあります。仲良しだったS氏の実家が荒物屋さんでした。そんな、商店街の中の荒物屋さんが店をたたみ、ビルになってゆくまで。病気で倒れる父親、子供ながらの店番、遅くまで開けているので家族で食事をしたことがない、といったどこか既視感のある情景が綴られます。絵がやっぱり怖い。


それでも、日本人は「戦争」を選んだ(←加害者、侵略者の反省がない!という糾弾より、N吉にはこのレポが響いた)
東大の先生による、中高生(といっても進学校の歴史好き男子少数精鋭)への授業記録。5日にわたって、日清戦争から太平洋戦争までの流れを学びます。太平洋戦争については、生徒もN吉も「なぜ賢い人たちが無謀な戦いを始めてしまったのか」という問いに尽きる。が、開国以降、戦争をしながら列強に伍していこうとする日本、そして度重なる戦争が生み出した社会不安をケアした軍の影響力が増し、国民もそれを支持していく構図を理解することができました。いくつもの原因がレイヤーのように重なり、ひとつのミスによって後戻りできないことが起こる。いつでもどんなときでも「今は次にくる戦争の前段階なのかもしれない」と考え続けることが歴史に学ぶということか。それにしても、加藤先生の授業が素晴らしく、受けてみたくなった。