ぱくぱく読書

左京区とパン(←紹介されてはる方も)
フリペぱんとたまねぎ発酵者のお話を名古屋で聞いたのは去年のこと。その後、増刊号が出たのを知り、ようやくcaloで入手しました。
……アンファンテリブル。いや、お子様じゃないのに失礼ですね。名古屋で拝見した発酵者Hさんは、見た目ゆるふわ系。登壇したご友人に「宝石の原石」と例えられていたのが印象的でした。発酵フリペは形状からして様々で、パンとフリペを作ることが好きで好きでって気持ちが溢れています。そして気持ちだけではなく、考えに考えたレイアウト、台割、そしてセンスのよさがきちんと形になっている。唸りました。キャプション文字がちょいと小さすぎる以外は素晴らしいっす!


パン屋と本屋(←こちらも行ってみたいお店)
上記の第二弾。こちらのテキストは、上記よりタウン誌(死語?)寄りにしてはるのかな? いつもの「好き好き感」がちょっとだけ薄いような気もするけれど、それでもやっぱりこのシリーズの魅力は、対象に対する無垢な興味が行動と形になってるところで、だからこそ応援したくなる。


光の雨
鬼子母神一箱古本市で購入した、連合赤軍事件を基にしたフィクション。発表当時に剽窃騒動が持ち上がっていたので記憶してました。
先の本(←かこかみん)を読んでから、この本を読む前に、ネットでも色々(←wikiにもあるけど、こちらは細かくまとめてくださってるぺえじ)読みました。
怖かった。久しぶりにうなされて夜中に目覚めた。何が怖いか考えると、寒いとか痛いとか臭いとか身体的な苦痛がまず一番。それをなんで回避できなかったのか、人はそんな簡単に人を殺せるのか、自分がそこにいたら止められたのか、たぶん自分も簡単に被害者・加害者になったんじゃなかろうか、ということを考えて震えてしまう。同時代に生きてらした方が独裁者の矛盾を突いてはりますが、誰も彼を論破できなかった世界がその時そこにあったんだろか。
関連書を読んでないので、どこまでがフィクションなのかわかりません。また、作者の他書を読んだことがないので、どのくらいの書き手なのか自分の中に基準はありませんが、文章にはあまり感じることはなかった。死に際の主人公がイタコのように様々な当事者になって語るという形式はなるほど読みやすいけど、未来から過去を語る設定にしたのは、描かれる未来世界に中途半端感があり、陳腐に感じました。
だいたいさあ、凄惨な死の話を聞く若い二人が生を求めて性行為に走るって文脈は、映画「おくりびと」でも見た気がするが本当にあるん?読者サービスなんかしらん。
死者に鞭打つ気持ちはないが、作者は二度も剽窃騒動を起こしているので、資料や関係者に対する姿勢が甘かった人なんだろうな、と思う。


漫画ともイラストともちと違う、そこはかとなくデザインな香りする本。
わたくし的読書 (MF文庫)分野の似通う2〜3冊の本を選んでイラストで解説、という形式を柱に、まとめられてます。単なる読書記ではなく、自らの読書歴が、今この本の読後感にどう作用してるか、ということまで伝わる、本読みさん達をくすぐる内容なのが楽しい。圧巻は、巻末解説の松田哲夫さんにより披露される、著者ムサビ卒業制作の展覧会レビュー誌。二カ月で41カ所の美術館を回って冊子状にまとめたものです。やっぱり表現者というのは、世に出るべくして出るんだなあ。